カセットテープよ、さようなら&ありがとう!2013年09月03日 22時54分49秒

★カセット文化終焉す。  アクセスランキング: 148位

 平成生まれの若い人は、レコードよりカセットテープに馴染みがないかもしれない。レコードは今もクラブシーンなどで一部の先端若者のアイテムなのだから。
 現在ではMDだって、シングルCDだってもはや過去のものなのである。音楽を聴いたり録ったりするのに今では実態ある個々のモノ、テープなどの記録メディアなどは必要ない。自分ではやったことはないけれど皆すべてダウンロードしたりファイル交換でやりとりするのであろう。そうやってpodなどのごく小さなメモリーやハードディスクに取り込むことが「録音」ということなのか。
 まあ、それが21世紀の音楽事情なのだと昭和の世紀、1960年代から音楽を聴きだした者として諦観のような思いと様々な感慨がわく。

 カセットテープなど今も使っている人はいったいどれぐらいいるのだろうか。海外、それも東南アジアなど第三世界では今も現役かもしれないが、間もなく需要も供給も終わりを告げる。今日でもまだ町では見かけるから演歌などカラオケのレッスンではまだ使っている老人もいるかと想像するが、たぶんこの数年のうちにコンビニでも100円ショップからもカセットテープは姿を消すだろう。まして若者はそんなの使うはずがない。ニューメディアという言葉があるならばレトロメディアと言うしかないものなのだから。

 筆者、マス坊は、カセットテープが一般に登場した頃から今日までずっと使い続けてきた。自分の記憶から換算すれば40数年使い続けている。さすがに最近では、ライブの録音などはICレコーダーに移行してしまったが、それも2年前ほどからで、つい最近までソニーの小型ステレオカセットレコーダーにステレオマイクをつけて生の音を録っていた。そのテープ業界の老舗メーカーTDKがついに磁気テープ事業から撤退するのだそうだ。

 先日の東京新聞の朝刊、特報欄に、「TDK 磁気テープ事業60年余年で幕 カセット栄枯盛衰」と題した記事が載っていた。

 同社は今もCD-RやDVDなどの記録メディアを生産しているが、知る限りもともとは「東京電気化学工業」と称し、その頭文字をとってTDKと名乗っていた。こうした発想はNHKと同じで現代では有りえないから時代を感じさせますね。

 カセットテープは、オランダのフィリップ社の特許で、小型かつ手軽な記録媒体として、知る限り60年代末から70年代、そしてソニーのウォークマンが世界的ヒットした80年代にかけて世界中でまさに一時代を築いた音声記録メディアであった。
 じっさい、その以前には個人が音を録るマシンとしてはオープンリールのレコーダーしかなく、それの家庭用のもなくはなかったが、テープも高価だったこと、扱いが面倒でオーディオマニアならともかくも子供にはまず縁遠い。だから家庭で誰でも気軽に音楽、放送やレコードなどを録音できる機械は待ち望まれていた。※前にも書いた、8トラというテープも登場していたが、カーステレオなどに向けたあくまでもソフトの再生専用で、録音機能はない。

 そういう自分も思春期に入り、中学入学のときだったかソニーのオーディオシステムを親にねだって買ってもらった。自室に入らないほど大きな当時話題の4チャンネルシステムだったから(スピーカーがフロントの他にリア2つの4つもある)、応接間に置いてあった。
 が当初は赤井のオープンリールデッキを秋葉原で買ってしまい、面倒だと思いつつもそれでエアーチェックとかしていた。そのデッキの話は依然拙ブログで書いたのでパスする。

 カセットテープは出始めた当時はC-60の、片面30分、表裏往復で60分のテープしかなかった。それが確か1本1000円もした。だから気軽には買えないのでラジオ放送などを録音しては消して使いまわしていた。
 それが、70年代に入るとラジカセの登場と共にごく一般的に普及していく。怪しげなブランドもいくつも登場し一気に値段も下がる。しかし、TDKとソニー、そして富士フィルムはカセットの三大ブランドとして、いや、日立マクセルも入れて四天王として、長らくカセットユーザーの厚い信任を得ていた。

 ご存知のようにカセットテープとは、ごく単純な仕組みでできている。テープを左から右へ巻き取って動かし磁気ヘッドで磁気テープに録音し聴くのは再生ヘッドで音を再生させるだけだ。
 当初、業界の人たちはあんな細い幅のしかも薄いテープで音楽なんて録音してもたかが知れているとバカにしていた。が、技術は日進月歩、ノイズ除去のドルビーシステムも普及し家庭用のオーディオシステムとしては申し分のないレベルまで進化していく。

 出始めた頃の無名ブランドの格安カセットには、あきらかに8トラのテープを流用したと思われるひどいテープもあった。また単純なのに、上記のブランドカセットメーカー以外の機種だとすぐ回転ムラや巻き込みが起こる。
 個人的に一番信頼を置き長く愛用したブランドこそTDKであった。そのテープの多くは今再生してもきちんと聴くことができる。管理状態が良かったこともあるけれど、40数年過ぎてもこうしたシステムのものが動くこと自体メーカーの技術力の高さ、メイドインジャパンの実力なのだと感心してしまう。

 この話、もう一回だけ続く。

コメント

_ HA-70 M-S-T ― 2013/12/11 01時13分59秒

TDKのカセットテープは2010年の冬、タイの洪水で工場がやられて以来製造中止でしたよ。それに記録メディア事業の大部分はDVD-Rやブルーレイなども含め、随分前からイメーション社に移管され、コンピュータテープ等、一部製品以外はブランドとしてはTDKでも実際はイメーション製でしたよ。
私は大学生ですが、カセットテープ、バリバリ現役ですし、TEACや赤井のデッキも使ってます。maxellオンリーになり、ノーマルテープしか手に入らないのが残念なところ。というわけで最近はオープンリールのツートラサンパチに手を出し始めたところです。

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